認定資格研修会・ワークショップ 7月5日(土)
◇ 認定資格研修会(CPCS-1-B)
定員50名 10:00~17:00
講師:有住洋子(仙台市児童相談所)
小澤久美子
(東京都健康長寿医療センター研究所)
CPCS(Certificate of Proficiency in the Rorschach Comprehensive
System)のレベル1(基礎:施行法とコーディング)は包括システムについて,①適正な実施,②正確な記録,③コーディングの基礎,④構造一覧表の作成ができる者を学会として認定することを目的としています。レベル1の取得には単位A,B,C及びDの4研修会を受講し,単位B研修会(コーディングの基礎)で実施される理解度確認試験に合格する必要があります。また,単位C及びD研修会の受講前に単位B研修会を受講しておく必要があるため,CPCSの取得を目指す方は,最初に今回の研修会の受講をお勧めします。CPCSの詳細は,学会ホームページをご覧ください。
(臨床心理士資格更新ポイントの対象研修会です)
◇ ワークショップ A(初級)
定員100名 10:00~16:00
「包括システムに親しむ~ロールシャッハを通して表現されたクライエントの世界を共にみる~」
講師:市川京子
(中央大学/一橋大学保健センター)
羽鳥乃路(東京武蔵野病院)
人は本当にそれぞれ違っていて,同じ事柄に直面してもその体験の在り方は千差万別です。ロールシャッハテストは,10枚の図版を通してそのことをまざまざと教えてくれますし,その人らしさを理解するための手がかりをたくさん提示してくれます。また,テストをとるプロセスは臨床のプロセスとも通じます。その人の体験をなぞり同じ景色を見てみようと試みる姿勢は,面接のトレーニングにも通じるエッセンスだと思います。今回のワークショップでは援助にあたって必要な情報をどのように得ていくのか,事例を通して皆さんと学びたいと思います。ロールシャッハを学びたての方や,すでに実施しているが包括システムにはまだ馴染みのない方々を対象としています。コーディングについても丁寧にご説明しますので,ご興味のある方はぜひご参加ください。
◇ワークショップ B(中級)
定員50名 10:00~16:00
「ロールシャッハ・フィードバック・ワークショップ:ことばを磨き,こころをつなげるフィードバックのスキル」
講師:馬淵聖二(千歳烏山心理相談室)
フィードバックの技術というのはどうやって身に付けていけば良いのか,という問いに応えられるようなワークショップを目指します。非常に日常的でありながら,かつ取り組み始めると大変奥深いこの技術は,多くの場合日々の臨床の中で自然と自分なりの方法を編み出していきつつも,心のどこかで常に一抹の不安を抱えながら上達していく…というものかもしれません。一口にフィードバックと言っても,それは複合的な技術であり,臨床的な技術を総動員するようなスキルといっても良いと思います。構造設定・関係づくり・ことばの作り方・見立てに基づくフィードバック戦略など,それぞれについて理論的概要を示した上で,それらを練習していくという進め方で行います。参加者の皆さんの経験知を結集させ,明日の臨床に使える知識と経験を得られるような仕組みにしたいと思っています。グループワークを伴います。どうぞ積極的にご参加ください。
本大会 7月6日(日) 9:00~16:00
○ 基調講演 13:00〜13:50
「包括システムの伝統を伝える-余はいかにして Rorschacher となりしか-」
講師:野田昌道(北海道医療大学) 司会:津川律子(日本大学)
公認心理師制度ができ,心理支援への関心が高まる一方,投映法を真剣に学ぼうという人は少なくなっているのではないか。本大会のテーマの基底には,このような問題意識があるのでしょう。このとき「人間に支援的に関わるには,人間のことを理解していないといけないし,そのためには投映法にじっくり取組む必要がある」と主張するのは至極まっとうなことですが,残念ながら単純にそう訴えてみたところで事態は変わらないようです。だからこその大会テーマなのでしょう。そこで,より具体的な手掛かりや視点を得るために,事例研究のごとく,私の個人的体験,すなわち,包括システムにどのように出会い,何に惹かれ,どのように学んできたのかといった経験を素材として提示してみたいと思います。道半ばの一介のロールシャッハ使いのごく個人的な経験に過ぎませんが,そこから伝えるべき包括システムについてのヒントが少しでも得られることを期待しています。
○ 事例検討 14:00〜16:00
「壊れた鏡症候群の事例 ジョン E. エクスナーに捧げるレクイエム」
事例検討者:中村紀子(中村心理療法研究室) 司会:渡邉 悟(徳島文理大学)
「壊れた鏡症候群(Broken Glass Syndrome)」は,ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』にちなんだものです。実生活で私たちが鏡を見るとき,もし鏡が割れていたら,その姿はぼやけ,変形し,ひび割れた自分を見ることになります。John E. Exnerも,あるプロトコルには,反射と損傷反応 (MOR)の両方,あるいは反射と濃淡立体反応 (Vista)の両方が存在するという,特別で非常に珍しい構成を呈するものがある,と述べています。2024年,包括システムの改訂版 (CS-R) を率いるPatrick Fontanは,米国,イタリア,イギリス,日本からなる研究チームを組織してこの謎に取り組み始めました。このような組み合わせや構成は,既存の自己愛の機能に関する記述とは正確に一致しないので,この現象を理解するのは挑戦です。そこでこの現象について意見を交換し,この現象をよりよく記述し,その臨床的意味を皆様と共有して,今後の研究についても考えを膨らませられたらと思っています。
包括システムによる日本ロールシャッハ学会(JRSC)
第30回徳島大会 大会事務局
〒772-0053 徳島県鳴門市鳴門町土佐泊浦高砂5
医療法人敬愛会南海病院 地域連携室内 (事務局担当:田尾)
E-mail :jrsc30tokushima@gmail.com